「速度,加速度,落下運動」 例題1

2005.11.10 解説:高瀬寿乃
出題:中村陽一
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例題1

右のグラフは時刻0の時 x 軸の原点を出発し,x 軸上を運動する物体の,速度と時間の関係を表したものである( グラフ)。 右の向きを正として,以下の問いに答えよ。
  1. 時刻 t = 2〔s〕,t = 4〔s〕,t = 6〔s〕,における物体の速度と加速度をそれぞれ求めよ。
  2. 図の斜線部の面積は何を表しているか。また,それはいくらか。
  3. 物体が原点から右へもっとも遠ざかるのはいつか。また,そのとき,物体は原点からいくら離れているか。
  4. 時刻 t = 8〔s〕における物体の位置を求めよ。


解答・解説

まず,グラフの見方だが,t = 0〔s〕で速度30〔m/s〕(初速度 = 30〔m/s〕)で物体は右向きに進んでいる。 時間がたつにつれて速度は小さく,すなわち減速してゆき,t = 4〔s〕で速度 0 となり(一瞬停止),その後、負の速度,すなわち左向きに徐々に 速度を上げてゆく(方向転換),といった運動が示されている。このような減速運動も「負の加速度による加速度運動」と呼ぶ。
グラフの傾きが加速度を表すが,この図では傾き一定の直線となっているので, 等加速度運動である。

(1)の解答例

まず,直線の傾きから加速度を求める。この運動では加速度は一定なので,各時刻における加速度はすべて平均の加速度 に 等しくなる。平均の加速度を求めるのに,この直線の両端の速度を使おう。グラフより t = 0〔s〕で = 30〔m/s〕,t = 8〔s〕で = -30〔m/s〕なので、

 〔m/s2

と求められる。等加速度運動の速度は

 〔m/s〕

で与えられるので,t = 2, 4, 6 〔s〕における速度はそれぞれ 15, 0, -15〔m/s〕,また加速度は一定で -7.5〔m/s2〕となる。

(2)の解答例

グラフの面積は物体の進んだ距離を表している。従って図の斜線部は 時刻 0〔s〕から 2〔s〕までに物体が進んだ距離である。等加速度運動での進行距離は

 〔m〕

となる。別解として,台形の面積=(上底+下底)×高さ/2を使うと,〔m〕となり同じ結果を得る。

(3)の解答例

図より時刻 t = 4〔s〕以降はグラフの面積が負となっていることがわかるが,これは 4〔s〕を境に物体の運動方向が反転したことを表している。つまり もときた道を戻っているのである。従って右向きの距離が最大になるのは t = 4〔s〕のときである。この時の距離は

 〔m〕

となる。別解として,三角形の面積=底辺×高さ/2をつかうと,〔m〕となり同じ結果を得る。

(4)の解答例

8〔s〕後の移動距離は,

 〔m〕

となる。つまり最初の位置までもどってきたことになる。
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