「落下運動」

2005.11.20 教育センター 平田 慈(めぐみ)
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解説ビデオ

(1)重力加速度

空気抵抗が無視できるとき,物体は質量や形によらず一定の加速度で落下する。この加速度を重力加速度 といい,その大きさはおよそ 9.8〔m/s2〕で, で表す。 (gravity ”重力” に由来。)

(2)自由落下

初速度が0の落下運動を自由落下という。 糸で鉛(なまり)などのおもりをつり下げると,糸の示す方向は,鉛と地球との万有引力すなわち重力の働く方向となる。重力の働く方向を 鉛直(えんちょく)方向という。自由落下は純粋に重力のみによる運動のことなので,鉛直方向の運動である。
t 秒後の落下距離を , 鉛直下向きの速度を とすると,加速度運動の公式

において, とおいて,

の関係が得られる。

(3)鉛直投げおろし

鉛直下向きを正とした初速度 ,加速度 の等加速度運動として,t 秒後の落下距離を ,鉛直下向きの速度を とすると,

の関係が成り立つ。

(4)鉛直投げ上げ

鉛直上向きを正とした初速度 ,加速度 ー の等加速度運動として,t 秒後の落下距離を ,鉛直下向きの速度を とすると,

の関係が成り立つ。

(5)水平投射

物体を水平に投げると,水平方向には力が働かないので速度の変化は無く(慣性の法則),水平方向には等速度運動を行う。 また,鉛直方向には重力が働いており,重力加速度 で等加速度運動,すなわち自由落下運動を行う。

図のように水平方向に 軸,鉛直下向きを正として 軸をとる。原点Oより小球を初速度 で水平方向に投げたとする。この小球は 軸方向に速度 の等速度運動を行い, 軸方向に加速度 の等加速度運動を行う。従って t 秒後の 座標と 座標はそれぞれ,

 (1)

 (2)

となる。(1)式から となるので,これを(2)式に代入して t を消去すると

が得られる。すなわち,小球の軌道は二次曲線(二次関数)となる。二次曲線のことを放物線(物を放った際に生じる線)と呼ぶのはこのことに由来する。


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